論理情動行動療法(REBT)
論理情動行動療法は、エリス(E11is,A.)によって創始された心理療法である。エリスは、最初は精神分析療法をおこなっていたが、従来のさまざまな知見や技法を見直して、新しい心理療法である論理情動行動療法を提唱した。
論理情動行動療法では、不合理な信念が心理的問題の原因と考えている。例えば、「私はすべての人から好かれなければならない」と考えている中学生を考えてみよう。この人が、すべての人から好かれていると思っているときは何ら問題は起きない。しかし、たとえばAさんから嫌いだと言われたとする。その時、「私はすべての人から好かれなければならないのに、Aさんから嫌われた。もう明日から、学校では楽しい時間は過ごせないだろう」と考えると、憂うつになるだろう。また、「私はすべての人から好かれなければならないのに、Aさんから嫌われた。明日から、Aさんのグループに意地悪をされるのではないか」と考えると不安になる。しかし、世の中で、会う人すべてから好かれている人などいるだろうか。実際には誰でも、好かれる場合もあるし、好かれない場合もあるのが普通だろう。そのため、「私はできるだけ多くの人に好かれるにこしたことはない。しかし、誰でも嫌われるという経験はするし、嫌われたって死ぬわけではない。まあ、仲のいい友達とやっていこう」という考え方が現実に適応しやすい合理的な考え方である。このような、合理的な信念を持っている人が誰かから嫌われたとしても、過剰な憂うつ感や不安感は経験せずにすむであろう。